道新連載⑫

北海道新聞連載記事です。
北海道新聞 平成22年10月14日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ⑫「3種競演」
 いよいよ秋本番。天気は気まぐれで、寒暖の差も激しくなってきました。
 暑さが収まり、少し元気を取り戻した野菜たちも、徐々に終演を迎えようとしています。
 僕の有機菜園で、今年初めて栽培に挑戦した作物の一つに、サツマイモがあります。
何かとお世話になっている、砂川のハーブ農園さんから、金時、紅東、パープルスイ―ツの3種類の苗をそれぞれ一株、思わず衝動買いをしてしまいました。
 育て方を聞くと、鶏糞をまき、土を盛って、ビニールマルチを敷き、植え込む。夏までは、あまり雨にあてず、乾燥気味で小さく育て、夏以降一気に成長を促す・・・といったようなアドバイスだったと思います。
 でも、この頃はすでに、ほぼ定植や種まきを終えていて、どこに植えたらよいか。そこで思いついたのは、花豆とルッコラをコンパニオンプランツ(共栄植物)として混植した植床です。
 すでに1mほどの円形に土を盛った植え床に、ルッコラの種をばら撒きし、その周りに竹竿を立てて、根元に白花マメを植えていました。少し強引ですが、その中央に穴をあけ、ミミズの堆肥を一握り撒き、ちょうど3箇所作っていた植床に、それぞれ一株づつ苗を植え込んでみました。
 ルッコラはグングン成長し、見る見るサツマイモの苗をのみこんでいきました。 もともとマルチ代わりに撒いたルッコラが、サツマイモのビニールマルチの代わりになればと思ったのですが、少々生育が良すぎたみたいです。
 結果は別として、土の中でヒルガオ科のサツマイモ、表層でアブラナ科のルッコラ、空中でマメ科の花マメの3種類が競演する植床のデザインにすっかり満足してしまった僕です。
 ルッコラは、別名「ロケット」と呼ばれる独特の香りと辛味が特徴のハーブの仲間で、白い十字形のかわいい花を咲かせます。 摘み取るとゴマのような良い香りを放つ、大好きな野菜の一つです。
 夏の間も元気に育ち、何もしなくても、あまり虫害にあうこともありません。種を自家採種しておき、来年も遠慮せずにたっぷりと使います。
 本来の主役の座を明け渡した格好の白花豆は、種豆を撒くのが少々遅かったせいか、10月になっても花を咲かせていました。豆の収穫までもう少しかかりそうです。
 そして肝心のサツマイモ。間引かれて隙間が出来たルッコラの間から蔓を伸ばし、収穫の時期がだんだん近づいてきたようです。我が家では、薪ストーブに、新聞紙とアルミホイルでくるんだイモを放り込みます。有機栽培で育てた自家製の3種類の焼きイモを食べ比べることにしましょう。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
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畑の隅に作った円形の植え床で、異なった性格の3種類の野菜を栽培
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十字型のかわいらしいルッコラの花(右)と、遅咲きとなった白花豆の花の競演